2010年8月27日

進撃の巨人

『進撃の巨人』を読んだ。この漫画、とても面白い。久々に独特の漫画を読んだ気がした。

物語は巨人に支配された人類が住む世界。人類は50mの壁を作って100年間巨人の進撃を防いでいたが、遂に50mの壁を凌ぐ大きさの巨人が現れ、街に侵入されてしまう。圧倒的に弱く、残酷に殺戮される人類。その描写も素晴らしい。人類VS巨人という物語なんだけど、発想からして相当面白い。巨人の存在自体が謎というのも面白い。そして巨人の気持ち悪さ。何だか本当に頭が足りない感じで気持ち悪い。

どう見ても巨人は岩明均の影響が伺えるのだけど(ということはロラン・トポールなんだけど)、単なるモノマネに終わっていない全体感がある。全体に漂う「無常観」、かと言って悲観している訳ではなく、極めて前向きに哲学しようとしている感じ。とても『寄生獣』な感じなんだけど、今後違った展開になりそうで期待ができる。

残念ながら画力が今一なので、格闘シーンになると何が何だか分からなくなってしまうのだけど、それを補って有り余る世界観。作者は23歳らしいし、まだまだテクニックも伸びるだろうから本当に楽しみだ。久々に今後が楽しみな漫画が出た。早く3巻出ないかな。色々ウルトラCを見せて欲しい。

 

2010年8月21日

アイデア 横尾忠則特集

雑誌アイデアの横尾忠則特集を買った。相変わらずのトゥーマッチぶりで、相当お腹いっぱいにさせられた。

横尾忠則には沢山影響を受けた。初めての出会いは中学生の時。デザインやアートに興味を持っていた俺に、母親が教えれくれたのだ。何処かの美術館で横尾忠則のポスターを初めて見たときすごく感動した覚えがある。つまり、原点なのかもしれない。

その後は同時にそのポスターに描かれている内容にも目が行くようになった。天井棧敷、状況劇場、三島由紀夫、60、70年代の文化を作った人々。全てではないけれど、入り口はここであったりした。あとはTVでやっていたドラマ『ムー一族』のオープニング映像(2分くらいからOP)。これは面白かった。調べたら分かったのだけど、OP曲の作曲が荒木一郎ってのがびっくりした。

丁度俺が知った辺りで画家宣言をしていたはずなので、その時は絵画を描いていたが、その絵画も面白かった。池袋西武で「滝」シリーズの展覧会を見に行ったり、その他の展覧会にも足を運んだり、本を読んだりもした。本はスピリチュアル過ぎて着いて行けなかったけど、ダリと邂逅した下りはとても興味深かった。

10年近く前東京都現代美術館で開催されていた展示にも足を運んだが、ものすごい展示量と作品の質で毒気にやられてしまった記憶がある。今回のアイデアもかなりトゥーマッチで全部見ると相当疲れる。何枚もポスターを見ていると、この人ベタ面使うのうまいなあと思う。あと足し算もうまい。足し算って初心者臭いデザイン手法なのだけど、横尾忠則は足し算しながら同時に引き算もこなしているような、見たことない計算方法で構築されている、そんなデザイン。

御年70歳オーバー。Twitterを見ていると全然お変りなく、お元気そうだ。これからもガンガン素敵な作品を発表して欲しい。

2010年7月20日

安部公房

以前もリンクした安部公房のインタビュー。何度見ても本質的で、素晴らしい内容をさらっと言っている。地図になぞらえて、「無限の情報」という話をしてそれが入っていなければ作品とは言えないという部分。とても普遍的で、小説に限らず全ての表現活動に言えることではないだろうか。

見る度に発見があるのだけど、今回は後半の「他者とは何か」「他者との通路を回復しない限り、人間の関係というものは本当のものはできないんだ」という所が心に染みた。

「他者との通路」という言い回しが独特で、とても安部公房らしいと思った。結局人間は生きている限り、他者とのコミュニケーション、社会へのコミットは避けられない。でもそこには確実に壁が存在しているわけで、完全なる相互理解があり得ないということを前提に考えるならば、全く無駄にすら感じてしまう。何をやっても理解し合えないので無駄ということになる。

でも人間の面白くも素敵なところは、最終的にディスコミュニケーションになって失い続けるのが分かっていながら、コミュニケーションは止められない所ではないか。どうせ他人が自分の思い通りになる訳がないけど、一瞬でも他者との通路の回復ができる幻想を見てしまう。実際一瞬だったらあり得るような気がするけど、それすら幻想かもしれない。

年を重ねれば重ねるほど、と言ってもそこそこ若いけど、コミュニケーションの問題ってすごく気になって来る。昔は勢いで押していたけど、他者には当然ながら「心」や「気持ち」というものが確実に存在していて、それを蔑ろにしたり、踏みにじったりすれば他者との通路は回復しないということが分かってしまった。

しかしながらいくら他者を慮ったところで、他者は全然気にしてくれないかもしれない。それどころか、こちらとの通路をひたすら埋めようとしてくるかもしれないのだ。そこの思いの差異に作品を作ったりするモチベーションが落ちているのかもしれない。絶対にクリアできないことだからこそ、考えなくてはいけないことなのだ。

「人間ってしょせんいつでも何かを失っていく方が幸せだと思った」

その通りだと思う。何でもかんでも手に入れて行くのは無理だ。酷い目にあって、失い続ければ手に入るものもあるだろうし、失って精神的に辛かったとしても、どうせその内時間が経てば忘れてしまう。記憶には残るけど、痛みや悲しみはほとんどなくなっていく。そんなものだ。

ただ、失ってしばらくは酷く傷つくし、辛い。その中でまた、全然違う他者との通路の回復作業も始まるかもしれないし、何だかグルグル思考が回ってやっぱり答えなんて出やしないや。少なくとも安部公房はやっぱりものすごい作家だったというこは分かった。

2010年7月17日

キラキラ

安達哲、『キラキラ』読了。最近だと『ご姉弟物語A.K.A.バカ姉弟』で有名な安達哲の初期作品。安達哲は好きで、『さくらの唄』、『お天気お姉さん』と読んできた。

内容は青春の甘酸っぱい恋、挫折、葛藤、自意識をネガティブかつあっけらかんと描いた学園モノ。高校生の時週刊少年マガジンに連載していたのだけど、後半に行くに連れどんどん少年誌の内容ではなくなっていった記憶があったが、その通りであった。流れはこの後の『さくらの唄』と同じ感じだ。

この作品からすでに『バカ姉弟』的なギャグもそこかしこに見られてすごく面白い。時にせつないし、すれ違うし、何と言うか当然こんな生活送ったことないのだけど、送ったことがある気にさせられる。「トリガー」の作り方がとてもうまいのだろう。

現実で人は人とすれ違うことがとても多い。だって他人が自分の思惑通りに動くはずがないから。『キラキラ』は特にその辺りのトリガーをうまく引いて、読者を引き込んでいるような気がした。すれ違い。つまりせつなさってことだと思うのだけど、うんエモいね。

80年代後半の作品なので、文化的には古く感じるのだけど内容は今読んでも面白い。単行本はどうも絶版みたいだ。

2010年6月 3日

ヒストリエ6巻

敬愛する岩明均の『ヒストリエ』。本当面白い。相変わらず1年半くらいに一冊ペースなので、忘れた頃に刊行される感じだけど、とても楽しみにしている。

今回の6巻、面白いけど正直これまでに比べると今ひとつか。何だか緊張感に欠けているのだ。恐らく壮大な物語になるのだろうから、その通過点としては問題ないはず。これだけ読んでしまうと、これまでの異様なテンションに負けてしまう感じ。

いずれにせよ面白いことには違いないので、スローペースでも楽しみ。何時まで経っても画がうまくならない感じも相当好印象だ。

2010年5月29日

ガンツ28巻

 ガンツの最近巻、恐るべし。すっかりメジャーな存在になって変な映画まで作られる様になったけど、初心忘れるべからず、やってくれました。最初からこれがやりたくてがんばっていたのではないかと思わせるくらいの強力さ。当然人気が出たから好き勝手できるってのもあるのだろうけど。

前巻は相当黄昏た人間ドラマ(まるで『渚にて』の様な)だったけど、今回はそんなの一切なし。ひたすら阿鼻叫喚の殺戮地獄絵図が展開される。リアルな東京で大量殺戮。すごい。描き込みがすごすぎて、最早画が見づらい。

巨大な宇宙人がわんさか出てきて、普通に考えると絶対人類全滅なんだが、今後どうカタストロフに向かって行くのか楽しみで仕方がない。凄い所まで行ってしまった気がする。そして、宇宙人の見た目も最高に気持ち悪い。

2010年4月22日

1Q84 Book3

村上春樹『1Q84 Book3』読了。結構忙しかったのだけど、電車の中、就寝前の時間を縫って読みまくった。

何となく予想はしていたのだけど、Book1、2の方が面白かった。全てが明快になるわけではないのだけど、Book3は説明しすぎてしまっていてそこが今ひとつであった。やはり「何だかよく分からない」要素が多い方が面白い。たぶん。

とは言え、内容は十分面白いし、本当文章がうまいと思った。村上春樹がすごいと思うところは、とにかくアブストラクトで意味不明な、正体も不明な邪悪なものを、非常に分かりやすい文章で表現できるところ。抽象的なことをひたすら具体的に説明できるその文章。よく考えると、内容は全然一般受けしそうにはないのだけど、何故か受けるこの面白さ。

これでBook4が出たら興ざめだけど、まあ多分出ない気がする。新作に期待しています。

   

2010年3月26日

jacquie magazine

この映像、すごく格好良い。一応18禁。

Jacques: The Sports Issue Trailer, 'Squash' from Jacques Magazine on Vimeo.

編集がうまいし、このエロさが最高。シンプルで何もしていないのだけど、素材のエロさと編集のうまさ、カメラのうまさで持たせている。何もしなくて良いのだよね、映像なんて。

何だろうと思って調べたら、NYで現在4号まで発刊されているjacquie magazineという名のコンテンポラリーアート&エロティックマガジン(なのかな)のCM。今時紙媒体ってのも素敵。

表紙やBLOGを見ているだけでも、実際に手に取ってみたくなった。エロパワーは世界を変える。それだけではなくて、イメージも50~70年代のピンナップ、ポルノの匂いがプンプンしていて俺好み。昔のポルノポスターは本当に格好良いし。でもちゃんと今風になっているところが面白い。

日本でも売っているとことがあるみたいだけど、ちょっと高いな。もう少し探せば安く見つかりそうだ。

そしてもう一本映像を(これも18禁)。SUPER8で撮影されたみたいなんだけど、モデルのアグリーっぷりや、動き、おっぱい、最高。何だこの格好良さは。上の映像もそうなんだけど、日本人が同じことをやってもVシネかAVにしか見えないもん。

久々欲しい本が現れた。

Jacques Magazine presents Tori from Jacques Magazine on Vimeo.

2010年3月10日

SCATTER

新井英樹の新刊、『SCATTER』がとんでもない。本当、びっくりした。最初から最後まで全く以て意味不明。すごすぎて度肝を抜かれた。

『宮本から君へ』の頃から愛読しているけど、本当意味不明な勢いのみで突っ走っている感じが素晴らしい。何だコレ。『ワールドイズマイン』も壮絶だったけど、意味不明という意味では超えそうな勢い。出てくる登場人物は相変わらず本当に痛い。痛すぎる。今時読んでいて疲れる漫画も相当珍しい。
副題の「あなたがここにいてほしい」はPINKFLOYDのwish you are hereからってのも素敵だ。

今後の展開がとても楽しみ。

2010年1月29日

J.Dサリンジャー死去

http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2010012900064

サリンジャーが死去。と言うかまだ生きていたのを知らなかった。91歳。

高校生位の時に立て続けに読んだ記憶がある。なかなか面白くて、それなりに影響を受けた気がする。

最近『ライ麦畑でつかまえて』の村上春樹新訳版を読んだけど、全然面白いと思えなかった。村上春樹が悪いという訳ではなく、俺がすっかりとおっさんになってしまったからだろう。

サリンジャーの作品は読む時期を逃すと、確実に読めなくなる作品だと思う。せいぜい高校生位までに読んでおかないと、全く共感ができなくなる。

R.I.P

2009年12月23日

マディ上原死去

マディ上原さんが亡くなった

マディ上原。正直好きではなかったのだけど、何だか気になる漫画家だった。元奥様はピーク時は確かスピリッツでも連載を持っていた原律子さん。この人は大正系の画風でひたすらシモネタを描く方でした。

R.I.P

2009年11月15日

パタリロ

 

パタリロがシリーズ通算100巻を達成したらしい。と言うか、シリーズって何だ。『出もどり家政婦パタリロ』なんて知らないぞ。

パタリロを読んでいたのは小学生の時。丁度アニメが放映されていた頃。その当時で確か20冊以上あった気がする。記憶に残っているのは、とにかくホモ漫画であったということだ。マライヒ!バンコラン!みたいな。よくもまあ、アニメになったものだ。もちろんソフトになっていた気がするが。パピプペペポパポ、パタリロ。

ずっと連載が続いているのは知っていたけど、通算100巻とは大したものだ。レギュラーのお話に挟まってくる、妖怪系のお話がやけに怖かった記憶が蘇る。オカルトか。

何にしてもこの調子でこち亀ばりに行って欲しい。と思ったらこち亀は166巻だ。恐るべし。

2009年9月 6日

1Q84

読了。なかなか面白かったので、一気に読めてしまった。ここまで長い物語を一気に読ませる手腕、さすが。普遍的な、いつの時代に読んでも恐らく面白いであろう物語が展開されていた。

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20090616bk02.htm

上は村上春樹のインタビュー。うーん、成る程。ちなみにネタバレするので注意。

2009年8月31日

1Q84

少し前に買った、村上春樹『1984』をやっと読み始めた。近年の村上春樹の作品は面白いと思えなかったので、大して期待しないで読み始めた。ものすごい大ヒットってのも何だか引っかかっていた。

が、とても面白い。往年の、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』あたりの感覚が蘇ってきた感じだ。最近妙に鼻に付いていた必殺のレトリックもそんなに気にならない。感覚の古さも時代設定が1984年なので、気にならない。つまり、村上春樹の感覚って80年代か90年代で止まっているってことなのかもしれないけど。

大筋としては、一見全く関係ない男女の物語があって、それがだんだんと近づいて来てという感じ。まだ上巻を半分過ぎた辺りなので、全体の感想は何とも言えないが、少なくともここまではとても面白い。

村上春樹は文章がとてもうまい作家なので、するすると読めてしまうのも良い。だからヒットするのだろうけど。他の本もそうなのだけど、実は内容は結構アブストラクトで荒唐無稽だ。でも読みやすいから、そこはそんなに気にならないのだろう。いずれにせよ、しばらく楽しめそう。