
週に一度の楽しみだった『輪るピングドラム』が終わってしまった。『少女革命ウテナ』幾原邦彦監督、久々の作品。ウテナファンとしては始まる前からかなり期待していたのだけど、本当に面白かった。
物語は、特に一期は全く話が見えなかったのだけど、二期になって徐々に物語の全貌が分かってくるにつれ、どんどんブーストが始まり強烈に面白かった。途中、何度も涙を流し、震えさせてもらった。ウテナに比べると、物語がより立体的になり、とてもテーマが分かりやすくなった印象。キャラクターも全員が魅力的で愛することができた。
特に気に入ってしまったのが、眞砂子というキャラクター。巨大財閥のお嬢様で気が強い。眞砂子にくっついているエスメラルダというペンギンも最高に可愛らしかった。その他三匹のペンギンが出てくるのだけど、とにかくエスメラルダが気に入ってしまった。
物語は、何と言うか抽象概念と現実が絶妙な具合でミックスされていて、本当に面白かった。村上春樹の物語に似ている感じと云うか。「絶対的な悪の概念」的な、正直よく分からないし、本質がさっぱり見えない(見せていない)ものが出てきて、そこがとても興味深い。ウテナはひたすらの抽象概念をアニメで具体的に提示した気がするけど、これは抽象概念からのアプローチと現実的な部分からのアプローチのせめぎあい、そこに世界が存在する感じであった。
作品中に出てくる言葉も独特で興味深い。運命の至る場所、運命の乗り換え、運命の果実を一緒に食べよう等、運命押しの言葉が多いのだけど独特の言語感覚が面白い。難しくないのだけど、独特の言語感覚って実はかなり難しい芸当な気がする。
ウテナもそうだったけど、時節挟まってくる笑いの描写も秀逸。ペンギン達の行動も相当面白いし、サネトシ先生のクールでありながら笑いを挟んでくる言動も相当面白かった。全体的に実は割とテーマが社会的で暗く、重いのでこういった笑いは重要なのではないだろうか。
社会にコミットできない人々が一体どうなって、どんな行動を起こすのか。これは実際の社会でここ20年くらいで分かってきてしまっている。アニメや映画がこういった問題を扱うのは当然の事だと思う。ピングドラムでも地下鉄サリン事件を彷彿とさせる事件が物語の鍵になっていたりする。
現実と虚構の境界線辺りに、ぶつかる辺りに、きっと何かがある。今まではどちらかに行きっぱなしだったけど、これからはこういった作品が増えてくるのではないだろうか。と言うか現実に虚構がどんどん食い込んできている気がする。面白いなあ。
物語って完全に閉じなくても良いと思っている。全ての伏線を回収し、決着を着けるやり方もあるのだけど、開けっ放しでよく分からない部分が多い方が面白く感じる。個人的に物語に求めるものは、世界を提示し、そこに閉じ込めてくれること。その為には開けっ放しで最終回が終わらなくてはいけない。開けっ放しであれば、現実の世界に物語が少しずつ入ってくる。
いずれにせよピングドラム、ウテナの様に映画をやって欲しい。全く違った設定で。今年一番、いやここ数年で一番の面白さを持ったアニメであった。